
神戸の六甲山にあるオルゴールミュージアム、ホール・オブ・ホールズ六甲に収蔵されている、音源がiTunes Storeに初登場しました。
古くから人々は音楽を記録し、好きなときに楽しみたいという思いを抱いていました。
ヨーロッパでは中世から、音程が異なるベルを組み合わせて音楽を奏でるカリヨンという楽器が作られていました。人がハンマーで叩いて音を出していたこのベルを、ピンなどの突起を付けたシリンダーを用いて自動演奏をするカリヨンが登場します。そしてこの自動演奏カリヨンは、当時の時計技術と結びつき、小型化され置時計などに組み込まれるようになりました。
しかし、小さな時計にいくつものベルを組み込むには限界がありました。そこで、ベルの代わりに調律した金属片(櫛の歯)を用いて音楽を奏でるものがスイスの時計職人の手によって考案されました。オルゴールの誕生です。
やがてオルゴールは、時計とは別々に発達し音楽を鑑賞するための装置として精度を高めていきます。
シリンダー・オルゴールは、19世紀の後半に全盛期を迎え、創意工夫されたものが作られました。それらの精巧なオルゴールは全て職人達の手作業で作られていたため、高価なものでした。そこでもう少し容易に製造できるディスク(金属の円盤)を用いて演奏をするオルゴールが、1885年にドイツで考案されます。
ディスク・オルゴールは、ディスクを交換することによって多くの曲を楽しむことができるため欧米の人々の間に短期間で普及し、家庭用だけでなく、レストランやパブなどで活躍する業務用ディスク・オルゴールも製造されました。ディスク・オルゴールは1900年前後に全盛を極めましたが、蓄音機の発達と共に早くも1910年代半ばになると徐々に姿を消していきます。
録音技術が発達するまでの間、オルゴールは当時の人々の暮らしの中で重要な役割を果たしていました。現在の私たちには考えることが難しいほどの長い時間と手間を費やして作られたオルゴールからは、当時の人々の音楽に対する熱意が感じられます。その豊かな音色は100年近く経った今もなお私たちを魅了し続けます。
収録曲は以下の14曲です。
・パダジェフスカ:乙女の祈り(Reginaphone Style 155)
・ブラーガ:天使のセレナーデ(Reginaphone Style 155)
・日本古謡:さくらさくら(Reginaphone Style 155)
・滝廉太郎:花(Polyphon Style 103)
・文部省唱歌:ふるさと(Polyphon Style 103)
・成田為三:浜辺の歌(Orpheus Traditional Style 801)
・山田耕筰:赤とんぼ(Orpheus Traditional Style 801)
・スメタナ:モルダウ(Orpheus Traditional Style 801)
・スコットランド民謡:スコットランドの釣鐘草(Stella No.268)
・ワーグナー:オペラ「ローエングリン」より 婚礼の歌(Stella No.268)
・イギリス国歌:God Save the Queen(Stella No.268)
・シューベルト:セレナーデ(Empress Concert Grand)
・ビゼー:オペラ「カルメン」より ハバネラ(Empress Concert Grand)
・ビショップ:はにゅうの宿(Mandolin Expressive)