
天羽さんがまだ専門学校生だったころの事である。冬の深夜、ルームメイトの市川君が彼女を連れ、息せき切って帰って来たのがきっかけだった。「月寒公園に奇怪な女の子がいた」と。全身を真っ赤に染めた幼児が一人きりでブランコを漕いでいたのだという。たまたま家に遊びに来ていた学友の男子十人は、早速公園に出向いたのだが、女の子の姿はない。市川君に一杯食わされたのかと思ったが、間もなく友人の中に不可思議な体験をする者が複数名出てきたため慌てて帰宅する。その日を境に、市川君の言動はおかしくなり、又ルームシェアしている部屋に自分たち以外の気配を感じ、足音が聞えるようになっていく。
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