この話も先にお届けしたクニハルさんから伺った話だ。先は父親の話だったが、今度は母親である。クニハルさんの母は父が家を出た後、細腕一つでクニハルさんを育て上げた女性だが、どうやら昔から霊感が強かったらしい。クニハルさんが10歳のころ、家計を支えるため、昼職のほかに夜はホステスをしながら休む間もない働きぶりは幼いクニハルさんの目にも圧倒的だった。ある日、店の常連客が店のママと女の子数人と琵琶湖へ一泊二日の旅行に行こうと持ち掛けてきた。子連れであることを隠して務めていた母は躊躇したが、結局一緒に行くことになったそうだ。しかし、後になって思えば躊躇したのはすでに嫌な予感があったからかもしれない