札幌市の某区には歩道橋代わりに地下歩道という幅の狭いトンネルが彫られている場所がある。体験者の女性はその日も通勤路にあるその地下歩道を利用しようと入り口にまで差し掛かると、ぽっかりと開いた地下への入り口付近の草むらにビビットな原色の黄色いハイヒールが一つ転がっているのを見とめた。
吸い寄せられるように近づき手に取ると、彼女は無意識に鞄にそれを入れて出勤してしまう。何故そんなことをしたのかはわからなかったが、彼女は午後の休憩でそれを捨てるつもりでいた。ところが休憩時間に鞄を見るとそのハイヒールは忽然となくなってしまっていたのだ。その日、残業で遅くなった帰り道、件の地下歩道を歩いていると誰もいないはずなのに後ろから足音がもう一つ響いてきて…。
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