
吉野さんという男性が少年時代の話。当時同級生と連れ立って訪れた公園には大きなグラウンドと、サッカーゴールがあった。また併せて少し妙な噂もある公園でもあった。
暗くなるまでシュートの練習で汗を流したが、そろそろ帰ろうということになり、足元に転がってきたボールを正面の友人にポーンと蹴り飛ばした時のことだ。
ボールは放物線を描いて飛んでいったが急に空中でピタリと止まりボトンと地面に落ちてしまった。気が付くと正面にいたはずの友人の姿はなく駐車場から「早く帰ろうぜ」と声を掛けられた。今蹴り飛ばしたはずのボールは駐車場にいる友人の手元に抱きか抱えられている。
吉野さんという男性はこの日の出来事を三十九歳になって急に思い出したのだが、その訳とは。
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